■この計画について

  「平成24年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によれば、三重県内の高校学齢の不登校生は963名、高校中退者は738名とその数は依然として多くなっています。原因として、対人関係を築くことへの難しさや情緒不安、貧困の問題等が挙げられており、課題を抱える若者が増えてきていることが危惧されています。

 

 こうした学校段階での躓きが将来的な引きこもりや貧困、若年無業や非正規雇用といった問題と深く関連していることも指摘されており、深刻な問題になっています。しかし、義務教育ではないという理由で、彼らへの公的な支援はほとんどなく、既存の高校教育の枠からこぼれてしまった場合、高校生活に再チャレンジできる場は十分ではありません。彼らやその保護者は将来に大きな不安を抱いている現状があります。

 

 このような現状に鑑み、彼らのための新たな支援の仕組みが求められていると私たちは考えました。私たちは三重県内において元高校教員らが中心になってNPO法人を設立し、前述のような課題を抱え、不登校生や高校中退など従来の高校教育システムの枠から外れてしまった高校学齢の若者の将来的な自立を支援する目的で、平成17年より9年間にわたり、彼らに日常的な居場所と通信制高校を利用した高校卒業資格取得などの支援を提供するスクールを運営してきました。その間、文部科学省から不登校生の支援にかかる実践研究事業を受けるとともに、その必要性が認められて三重県や民間企業などからも多くの助成事業・委託事業などを受けながら、彼らの支援のためのノウハウを蓄積し、人材の育成を図り、その内容の充実に努めてきました。その結果、スクールは正式な「学校」ではないものの、安心できる居場所ときめ細かな支援を求めて津市・松阪市を中心に県内各地から不登校経験者や高校中退者等毎年約50名程度の在籍があり、その数は年々増加傾向にあります。

 

 しかし正規の学校でない以上、彼らの再チャレンジの大きなモチベーションになる高卒資格は既存の通信制高校と併用するしかなく、多くの制約を受けざるを得ません。そのため私たちの目指す教育、彼らが必要としている教育が十分できないという課題に直面しています。

 

 私たちは、不登校によって奪われた学力や自己肯定感、自己効力感を回復し、人間関係を築く力を育て、将来にわたるキャリア支援を柱とした彼らのための独自のカリキュラムの中で、それぞれの課題を克服しながら、自立に繋がる力を育むことができる教育を、自分たちの手で作り上げたいと考え、三重県内の不登校経験者等課題を抱えた生徒を対象に、これまで培ってきた彼らを支援するためのノウハウと育成してきた人材を生かし、始めやすく続けやすいという通信制の柔軟なシステムを活用し、各自のペースで通学もできる環境と少人数で行き届いた支援を提供しながら、幅広い個々の生徒に対応できる独自のカリキュラムでもって,生徒自らが未来に向かって生きていく力を育むことを目的として通信制高校の設置を計画しました。